C O L O R  ×  G A M E

こういうモノはパターン化するものだ、というのがの持論だった。
ある程度の歳を数えれば対外的な自己キャラクターというものは固定化され、
ソレに引っ掛かる人間も必然的に似通ってくる。
そして同じタイプの男が吐く言葉など面白みの欠片もない。
だから別れる過程も似てたのかなぁ、なんて思わず過去のアレコレについて
逃避するくらいには、その言葉はにとって新鮮なものだった。

「……ごめんね、もう一度言ってくれる?」

ただ、今の議題は別れ話などではない。
せめて“年長者の意地”というヤツで落ち着きを払って頬笑んでみせて、
心中では大きく深呼吸をする。………よし、状況を整理しようか。
時刻はそろそろ日が落ちる頃、場所は職場近くの駅前広場。
出勤途中に名指しで呼び止められたは――…

「―〜っす、好きです!」

真っ赤な顔をした高校生から、なんとも甘酸っぱい告白をされた。いまここ。

少年の名前はリュウガミネ ミカド君と言う、らしい。
どんな漢字を書くのかは知らないが、来良学園の制服を纏った彼とは
正真正銘、今日が初対面だ。夜遊びなどしない真面目そうな子なので、
しがないバーテンダーであるとは接点を見つける方が難しいだろう。

「えーっと、りゅうがみね君、だっけ?」
「はいっ」

つまり何かの罰ゲームか、と考えるのが一番自然だった。
今に近くの生け垣から同じ制服の少年達が飛び出してきて、
彼らに駆け寄ったりゅうがみね君は仲間に突かれつつ談笑しながら去っていく。
少々気分が悪い筋書きだがまぁアリかな、と推理しただったが、
少年の目を見た途端、そんな邪推は吹き飛んでしまった。

「えーっと、」
「はいっ」

それなりに遊んではきたので口説かれるのも初めてではない。
と言ってもその相手は大抵見るからに頭がカラっぽの青年達で、
に対する彼らの一声は決まって「おねーさん、ケーバン教えて」である。
そういう輩相手のあしらいは自慢じゃないが得意だ。…得意、なのだけれど。

「……あー……」
「はいっ」

先程からいいお返事をするりゅうがみね君は本当に真剣で、
そんな軽い輩と同じ扱いをするのはかなり躊躇われた。
最近のワカモノは謎だ、と言うか普段周りに居無いタイプなので
正直どう対応すれば良いのかも分からない。
自身も十分“若者”の括りに入る事は棚に上げては悩む。
こちとら高校生に……というか年下に興味はない。
しかし即お断りをするほど嫌悪感を抱く相手でもない。
ただ一言の告白で真っ赤になる誠実さと、清潔な子犬のような目は
散々迷ったにその言葉を発させた要因だったのだろう。

「…アドレス、交換しよっか」
「!! はいっ」

そしてその結果りゅうがみね君は心底嬉しそうだったので、
まぁいいか、と思いながらはつられて微笑った。

彼女の持論が覆された、最初で最後の瞬間である。




Strawberry Boy