しゃがみこんで携帯を弄っていたらテーブル横のカーペットで寝転がっていた臨也くんがごろんと大きく寝返りを打った。臨也くんの細くて白くてきれいな腕がわたしの下品なくらい短いスカートのなかに伸ばされる。臨也くんの黒いTシャツが捲れてけして筋肉質ってわけじゃあないけど痩せて引き締まったお腹がちらと見える。横になった臨也くんの背中に浮き上がる背骨が、ほんのちょっとだけみえるのはすごくいやらしい。ちらリズムだちらリズム。目の毒だよ臨也くん。わたしはそれを隠すように臨也くんの背へ手を伸ばした。弾みで臨也くんの指が内腿を撫でたからすこし興奮した。
「臨也くん背中みえてるよ」
「あはは」
「臨也くんなんで笑うの?見えてるってば」
「うん、ちゃんは馬鹿だねェって思ってね」
臨也くんがさらに寝転ぶ。わたしのスカートから指が抜かれてしまった。あぁー。わたしは多分すごくさみしげな顔をしたんだと思う。だって目のあった臨也くんの笑顔がさらにグレードアップしたから。ハイパーになったから。わたしは臨也くんの笑顔が見れてがすごく嬉しかったけど、Tシャツの背中にもぐりこんだ私の腕がつぶされて痛かった。
「臨也くん重いよぅ」
「そんなことないよ」
そんなことあるよ。わたしこれ臨也くんの背骨に指潰されてちょっと痛いよ。反論しようとしたけど臨也くんはにこにこ笑っているのでその意思もしょぼしょぼとしぼんじゃう。なんたって臨也くんのその笑みはすっごく綺麗で美形でかっこよくて、まぁこれぐらいの痛みはいいかな、って思うぐらい美しいのだ。痛いのなんてちょっとだもんね。ちょっとだけだもん我慢できるねって、だってずるい臨也くんそんなきれいな顔して、わたしどうしてか思っちゃうよ。
それにちょっと痛い方が気持ちいいっていうよね?臨也くんだって前にそう言ってたでしょう。わたしは背中の下で器用に動かした手で彼の背中の皮膚を弱くひっ掻いた。臨也くんがいやらしい顔をする。やっぱりね。臨也くんったらえろいんだから。えろにすとなんだから。まぁそこもすっごくかっこいいんだけど。だらしなくその顔を見つめていたら臨也くんが今日初めて彼の方から口を聞いてくれた。わたしは期待で本当に胸が高鳴る。(馬鹿みたいかな)(こんなの)
「ちゃんってえろいよね」
「だめ?」
「なんで?俺エロいの良いと思うけど」
すると臨也くんはたった今わたしが思っていたことと同じことを思っていてくれていたみたいだ。わたしはそれで最高に嬉しくなる。なんて嬉しいんだろう!なんて幸せだろう!嬉しすぎて思わず指先の痛いのなんて全部忘れた!代わりに思い出す、そう、今の、別にいいよっていったときの臨也くんの顔!かお!笑顔!わたしはどくどくどくと信じられないほど興奮して興奮して胸が脈打ってその高鳴りを分かってほしくて臨也くんの掌を自分の胸に押しつけた。
「えっちなことして、臨也くん」
にっこり、にっこり。臨也くんは何も言わないでにっこり笑う。わたしは勝手に了承を得たと思い込んで臨也くんの掌に自分のを上から重ねた。なのに反応がないから不安になって首をかしげる。「臨也くん?」名前を読んだら首を傾げて「なに?」と答えてくれる笑顔の臨也くん。そのかっこよさに当てられてわたしはいつものように目眩がする。くらくら。くらくら。かおがあついみみがあついいろんなところがあつい。たまらなくなって猫のように臨也くんの胸の上に頭を乗っけて頬刷りをした。絡めたままの手を胸に押しつける。ちゅっと臨也くんの腕の付け根近くで唇から舌を出す。臨也くんがくすぐったそうに笑った。臨也くんの笑顔が見たくってわたしは顔を上げる。わたしの馬鹿見たく熱っぽい顔を見て臨也くんはひときわ面白そうに今度は声に出して笑ってくれた。
「ちゃん馬鹿みたい」
「うん、ごめんね」
「別にいいよ」
「うん」
臨也くんはとても美形で綺麗で背はそんなに高い方じゃないけどライン的には十分許容範囲で定期テストのときなんかいつも廊下に名前を貼り出されているしあの隣のクラスの金髪暴力男から逃げられるぐらいは運動神経が良いみたいだし、いつも学校で着ている古臭い趣味の短ランはださいけどなぜかすごく似合っているしああきっと人徳よね臨也くんはすっごくかっこ良いから。ほかのひとがやったってだめだよ。全然かっこ良くない。臨也くんだから。臨也だから。世界で一番格好良い折原臨也くんがすることだから。そんな彼と付き合うことができたわたしってきっと世界一の幸せ者に違いないんだ。改めてわたしは幸せをかみしめた。臨也くん臨也くん臨也くん!もっときみを好きになりたいよ!
「ちゅーしてもいい?臨也くん」
「好きにしていいよ」
「うん」
18年間生きて来た。いろんな男の子と付き合って仲良くなってしゃべってそれでも一番は今だよ。臨也くんきみ以上のひとなんてどこにもいなかった。きみ以上の声をもったひともきみ以上のて、あし、からだ。きみ以上の心。きみ以上にわたしを幸せにしてくれた人はいなかった。そう、たった、単なる君の笑顔で!
ああわたしは幸せだよ。こんなにもかっこ良い君とこんな風にいちゃつけて触っても甘えても許されてわたしは幸せ。幸せだよ臨也くん。好きだ君のことが好き。好き。大好きだよ臨也くん。
臨也くんの唇に一回自分のを乗せるたびにわたしは臨也くんがわたしに魅力されますようにって祈る。一回いっかいちゃんと祈る。臨也くんがこのキスを気にいってくれますように。臨也くんがまたわたしとキスしてもいいっておもってくれますように。一度ずつちゃんと祈る。シャツの中に手を入れて薄くなでた。私の経験上で男の人がいちばん気持ち良くなる撫で方をした。ああ願わくば臨也くんがわたし以外の誰にもこんなことをさせませんように!
「臨也くん臨也くん」
「なぁに?」
「だいすき」
「そう?」
「うん、だいすき」
すき、すき、とわたしはもっともっと告げようとした。だけどふと気になって尋ねてみる。
「ねぇ臨也くんどうして君はそんなに笑ってくれるの?」
臨也くんはわたしがすきって言うたびに笑ってくれる。わたしはそれがすごくうれしい。嬉しくってうれしくってたまらない。だけどどうして
臨也くんはそんなにわたしに沢山笑いかけてくれるんだろう。付き合っているから?私が好きだから?そんな答えを正直期待してた。だからわたしは自分が一番かわいくみえる角度で真下の臨也くんに向かって首を傾げた。
けどその様子をみて臨也くんはにっこりと笑うだけ。にっこりにっこり。にっこりと笑うだけ。
「臨也くん?どうしたの?」
「ううん、やっぱりちゃんは馬鹿だねェーって思って」
にっこりにっこりにっこり。何も答えをもらっていないってことぐらいわたしちゃんと分かっているけれどそれどころじゃないの。聞き返すことなんてできないよ。ただわたしは臨也くんのその笑顔にくらくらとめまいがしてたまんない。だってぐっと近づいた臨也くんの頬!女の子のものと変わらないくらい白くって綺麗で!それでいてやわらかくって!
わたしはついに臨也くんの答えをあきらめた。だってそれよりもっと大切なことに気付いたの。臨也くんはわたしをいつも「馬鹿だね」と言って笑ってくれる。思い返せばいつもそうだったね。やっぱり馬鹿だ、わたし。そんなことにも気づいてなかった。
ああ臨也くん臨也くん臨也くん。つまりこういうことだね?わたしが馬鹿なら笑ってくれるんだね?馬鹿だから笑ってくれるんだね?安心してわたしはとっても馬鹿だから!臨也くんのためならもっともっとだって馬鹿になれるから!だからお願いもっともっと笑って!もっとわたしを馬鹿にしてダメにして!
嘲っていいの、好きにしていいから!
「お願い臨也くん」
点滅★濃桃イルミネーション
<臨也にべた惚れ主人公。高校生希望!
100601 壱子
DRRR企画『COLOR×GAME』様へ!
